2005年8月22日月曜日

生鮭喰い


どっちでもいい。
夕暮れはあかい。
足元の川にこぼれる肉片、

どっちでもいい。
滴る血はあかい。
僕らの短い爪と鼻の先の、

背中。
黒い森の暮れ方に燃える、
僕らには聞こえない愛を叫びながら。

燃える。燃え上がる。
けれど熱くはないから、
僕らはそれを剥ぐ。簡単に。

その中の肉が、
旨い
のだ。


どっちでもいい。
生命は美しいか、
生命は汚いのか。

どっちでもいい。
鮭は何かの比喩であるか、
夕空の赤は血の赤よりも残酷か。

僕は川に入り、捕まえて、食う。
こぼれ落ちる肉片と、
滴る血。黄昏の空はすでに涼しく、

僕は川に入り、捕まえて、食う。その度ごとに、
何を思ってか、黒い森の四方から、
けたたましく湧き上がる人間の嬌声。