2004年5月2日日曜日

映画『キャシャーン』へのオマージュ


鳥のいない映画を見ました。
ハヤブサよりも速く、
鉄をまとったあなたが駆けて、
量産された機械が燃え上がる
六月

鳥のいない映画を見ました。
命をもたない者たちの、
折り重なった夢の跡から、
ほたるのように飛び立とうとする、
ひかり
つむいで

ねえ、あれは音楽ではない。
ねえ、あれは絵画でもない。
あれは映画なのです。あなたよ。
怯えた豹のように見開いた眼も、
蜘蛛のように膨らんで破裂しそうな背骨も、
すべて
毒された森の中で
宛て名もなく果てていくまたたき

抱き合いながら
すれ違っていく


生まれ持った名前を捨てて、
「俺の名は、……キャシャーン」 と、
名乗ったあなたよ。
砕け散った機械たちよ。
降ることはなかった六月の雨
傷んでいくまなざし
すべてのひかりよ。
海に帰りなさい。
鳥のいなくなった空をわたって。
そうしてわたしは振り返るのです。
一層過酷な天を抜ける嵐に、
この肌をさらして、
そこから愛していくために。

映画館を、出る。