正しくない朝などあっただろうか。 世界の学生食堂に、 しずかな喪服が満ちていく夜明け。 白々しい沈黙と、 小さく鳴り続けている食器の音を、 ひかりと呼んで、 わたしは旅立たない。 正しくない朝などあっただろうか。 夜が眠らす鉄と羽とを、 さらに深くまで眠らせていく行為。 森のつぶやきの中で、 それは常に成功し、かつ失敗するから、 わたしは目覚めている。 返り血は既に乾いた。 誰も見えない道の上、 空腹は絶望ではなく佇んでいる。 どこかで風が冷えていき、 満ちる海さえないままに、 朝が昼になる。 音がとぎれず忘れられていく。 裸足で踏んでいく真実のやらかさ。 やがて家に着くまでの、 引き伸ばされた、角(かど)。 正しくない朝などあっただろうか。 歴史はしずかに微分され、 あらゆる若さがマナーの席に着く。 正しくない朝などあっただろうか。 射抜かれた鳥たちの骨と肉は消えた。 駆けるもののない空を、 鉄の昏睡と、 わたしの呼吸だけが明けさせていく。 ここでは誰も生きていない。 ここでは誰も死んでいない。 昨日殺したのが一体何なのか、 それさえも思い出さないまま、 無表情なざわめきの中、 ひかりは果てる。 この朝に、 向かう先はない。 |