もう はだかにしなくてもいい ほのぐらい喫茶店のソファーの上で あなたがほほえんでいる ゆうゆうと その片足を上げながら 疫病(えやみ)が来て去った 喉を苦しめていた嵐も また あの時脱がせたあなたの衣装と あなたのからだ 誰も知らない いまもまだ あの服は着たままで まだ あの歌も歌いつづけているけれど いま ほのぐらさのまん中で 何度でも湧き上がる 誰も知らないやわらかな曙 もう はだかにしなくてもいい あなたがほほえんでいる ゆうゆうと上げた その片足と ぼくらの視線を 終わることなく微分しつづけて ( ) 注)「疫病が来て去った」は、入沢康夫さんの詩「ナギラ・メギラ」より引用しました。 |