2003年12月25日木曜日

まはだかな あなた


もう はだかにしなくてもいい
ほのぐらい喫茶店のソファーの上で
あなたがほほえんでいる
ゆうゆうと
その片足を上げながら

疫病(えやみ)が来て去った
喉を苦しめていた嵐も また
あの時脱がせたあなたの衣装と
あなたのからだ
誰も知らない

いまもまだ あの服は着たままで
まだ あの歌も歌いつづけているけれど
いま ほのぐらさのまん中で
何度でも湧き上がる
誰も知らないやわらかな曙

もう はだかにしなくてもいい
あなたがほほえんでいる
ゆうゆうと上げた その片足と
ぼくらの視線を
終わることなく微分しつづけて

(  )





注)「疫病が来て去った」は、入沢康夫さんの詩「ナギラ・メギラ」より引用しました。