ハロー、 ハロー、 遠い所から手紙を送ります。 幼くはなくなってしまったあなたに、 わたしの言葉を、なるたけ沿わせながら、 遠い所から手紙を送ります。 聞いてほしい、 ハロー、 ハロー、 聞いてほしいのです。 ひとつの目覚めを歩み出しているあなたに。 いまだ育ちゆく夢の中径(なかみち)の、 枝に懸かる、小さなもみぢを。 その文字を。 枯れゆく季節に。 冷たい夜空に。 月だけが不思議と少し大きく見え、 見上げていたあなたの、 美しい横顔は雪原のようでした。 わたしは伝える声さえ失って、 聞こえますか? 聞こえますか? いまは一度でいいのです。 あなたの言葉がしゃべりたい。 わたしの背丈のこの歌を、 かつて、あなたが遠くから、 しずかに繰り返してくれたように。もう一度。 ハロー、 ハロー、 遠い所から手紙を送ります。 書き散らしていく幾千の掌は、 枯れることなく、空へとむかう。 そして星になるのです。旅立つあなたを、 照らせるくらいに、輝いて。 (覚えていますか? あの頃の帰り道。 夕べはしずかに実りにむかい、 暮れゆく空で、穂は瑞々しく傾いでいました。 幼かった子らの舞いゆくのが見え、 代わり代わりゆくものはすべて貴(とうと)かった。 きっと今でもそうなのです。) 四人でした。 四人でした。 ありがとう。 ありがとう。 ハロー、 ハロー、 いまだ育ちゆく夢の中径で、 小さなもみぢは、枝をはなさない。 ずっと、聞いていて下さい。わたしの、 わたしたちの歌を。歌いつづけるから。 あなたから遠く、しかし一緒に歩みつづけながら、 わたしは手紙を送りつづけます。 空へ、 作者註)この詩は、女性の音楽グループZONEから、 リーダーのTAKAYOが「旅立つ」ことを発表したこ とに端を発して、書かれたものである。ZONEは、結 成からその時まで、ずっと変わらぬ四人のメンバーで活 動していて、その中で年長者でもあったTAKAYOは、 六年にわたり、リーダーとして若いメンバーを引っ張っ てきたのだった。 この詩を書くにあたり、ZONEの「僕の手紙」を主 に参考にした。 (二〇〇三年十二月十二、十三、十四日) |