2005年4月15日金曜日

ロリコン論試論 「罪と罪」


古い伝説が横断してゆく
坂道の下
晴れてしまった交差点を

古い伝説が横断してゆく
白い背中と
かじりかけた林檎の 青

一斉に鳴り始めた着うたは
とまらない
いつまでも変わらないまま

誰もいない校庭のまん中に
重ねられてゆく
遠い朝焼けのように

尊かった教えは
雲のように直進し
どこかで 果てていた

傷のない耳と
幼い背中を見つめる僕の
それは

欠けてしまった 罪


「さあ むすめよ」
こんなありふれた街角で
僕はあの子に 声をかけたいのだ

「さあ むすめよ
 わたしたちの会えない母親に
 会いに行こう

 いますぐ ここから
 ひかりの射し込む
 あのバスに乗って」




〝わたしたち〟の乗ったバスは
やがて 躊躇うこともなく

坂道の下で
〝彼〟 をはねるだろう



   (二〇〇三年八月二十日、九月一、二、三日)


   (小詩集『試論』より)