2005年4月17日日曜日

食卓(1001/1011)


銀の皿が回る
ように
円周が
鋭い光を反射する
ように

僕らはいない
料理のない食卓に
ただ 数字だけがある

円く取り囲む椅子
の数
を 数え
費やされた
言葉たち 手足たち

こぼれた談笑は
すべて録音され
もはや無数に
複製された

 (昔に録ったやつは
  デジタルリ・ マスタリング
  して

 リ・ プレイ
 アンドリ・ プレイ
 アンドリ・ プレイ

声の暗さも
指先のふくらみも
0と1になって
減らないから

 リ・ プレイ
 アンドリ・ プレイ
 アンドリ・ プレイ

僕らはもう
いたまない


銀の皿が回る
ように
円周が
鋭い光を反射する
ように

誰もいない食卓で
もう何度目だっていい
あっけない午後が
料理も乗せずに
回転しつづけている



   (二〇〇三年九月一〇、十一日)


   (小詩集『試論』より)