2004年4月4日日曜日

町田


行き先を決めてしまわないと、
降りることさえできない、
巨大な歩道橋。
JR町田駅東出口直通の、
空中交差点を、
午後もまた、たくさんの人々が、
すれ違っていく。
楽しそうに。

遠くまで伸びる視界。
道は百貨店にもつながり、
小田急の駅にもつながっている。
高く、なめらかに整列したビル群と、
均しく瞬かれている、
空。
その手前、歩道橋上で立ち止まり、
ひととき談笑する若者たちの上、
あるいは彼らの横を、
白く通りすぎる娘と母の上に、
穏やかな温度が、
崩れ落ちてきて、降る。

町田。
通り過ぎていく人々の、
うつくしい歩行を誰も呼び止められない。
町田。
まつわりつくはかなさを、
スカートの裾が淡々と払う。
卵のように寡黙なひかり、

町田。
なじまない眼差しが、
影よりも伸びる。
宇多田ヒカルが聞こえている。
町田。
はかなさを払いつづけてはかない。
日の名残さえも冷めていき、
カン。 カン。 カン。 と、
それぞれの水平線のむこう、
暮れる。

誰のものでもない日没


町田。
あてもなく巡るうちに夜は来て、
一枚の地図を覗き込む、
少女と中年男性の姿を見た。