行き先を決めてしまわないと、 降りることさえできない、 巨大な歩道橋。 JR町田駅東出口直通の、 空中交差点を、 午後もまた、たくさんの人々が、 すれ違っていく。 楽しそうに。 遠くまで伸びる視界。 道は百貨店にもつながり、 小田急の駅にもつながっている。 高く、なめらかに整列したビル群と、 均しく瞬かれている、 空。 その手前、歩道橋上で立ち止まり、 ひととき談笑する若者たちの上、 あるいは彼らの横を、 白く通りすぎる娘と母の上に、 穏やかな温度が、 崩れ落ちてきて、降る。 町田。 通り過ぎていく人々の、 うつくしい歩行を誰も呼び止められない。 町田。 まつわりつくはかなさを、 スカートの裾が淡々と払う。 卵のように寡黙なひかり、 町田。 なじまない眼差しが、 影よりも伸びる。 宇多田ヒカルが聞こえている。 町田。 はかなさを払いつづけてはかない。 日の名残さえも冷めていき、 カン。 カン。 カン。 と、 それぞれの水平線のむこう、 暮れる。 誰のものでもない日没 町田。 あてもなく巡るうちに夜は来て、 一枚の地図を覗き込む、 少女と中年男性の姿を見た。 |